イリヤの空、UFOの夏〈その1〉
2005年1月19日 読書
最近diarynoteのユーザー周辺で微妙なブーム?っぽいイリヤ。
谷口くんに勧められて読んだ俺も何だかんだでハマってここ2日は授業中もイリヤを読むことに時間を費やすという見事なイリヤ厨になっておりました。せっかくなのでレビューでも書いてみようかと思ってみた次第でありんす。
舞台は現実と違う歴史を辿ってきた、北の国との戦争で微妙な緊張が漂う日本。軍の基地がある郊外の都市に住む平凡な中学生の主人公はひょんなことから夏休みの最終日にワケありな転校生の少女イリヤと出会い、それがきっかけで彼女と世界の秘密を共有することになる、というあらすじ。ボーイミーツガールという古典的な様式で「青春時代とその終焉」という普遍的なテーマを描いた、青春娯楽小説の王道と言える作品かも知れない。先日読んだ森絵都の「永遠の出口」が誰もが経験したであろう冴えない青春を面白く描いていたのと対照的に、この小説で描かれているのは誰もが経験したくて出来ないような、そんな楽しい青春だった。
残暑の気配がうっすらと残る学園生活の空気感の描写が秀逸ですぐに作品世界に入り込めるし、ヘンな癖がなくて適度にコミカルなキャラクター描写や文体も良いと思う。背後に謎めいた雰囲気をちらつかせつつイリヤとの関わり合いを中心とした学園生活が繰り広げられていく前半部分。やがて後半へ向かうに連れて遠くの出来事だった戦争が徐々に主人公の街にも影を落とし始め、少しずつ失われていく日常。主人公の決意する世界との幼い戦い。そしてその先にある、終わり。あくまでも戦争や世界の謎に関しては一部を除いてその外側をなぞっていくだけで具体的なディティールは描かれないんだけど、逆にその得体の知れなさがこの作品においては良い方向に作用していたと思う。
大槻の日記にもある通りこの作品は最終巻が物議を醸したらしく、一部のファンの間では三巻で終わったことにされているらしいのだが、俺としてはこの作品であれより良い終わり方は有り得ないんじゃないかと思う。詳しくはネタバレになるので書かないけども、どんなに楽しい青春もいつかは終わるということ、誰もが少年時代と折り合いを付けて大人になって行かなければならないという切実なテーマをライトノベルでしっかり描いたのは評価に値すべきだし、青春小説というのはそうあるべきだと思う。最後のエピローグでの主人公の行動は、正にその象徴であるような気がした。
読み終わった後に何とも言えない寂しさが残った小説というのは中3の冬に読んだ村上龍の「愛と幻想のファシズム」以来で、久々に心に残る作品だったと思う。目下の問題は、その寂しさと俺自身がどう折り合いを付けるかという事ですが。どーしよ(笑
谷口くんに勧められて読んだ俺も何だかんだでハマってここ2日は授業中もイリヤを読むことに時間を費やすという見事なイリヤ厨になっておりました。せっかくなのでレビューでも書いてみようかと思ってみた次第でありんす。
舞台は現実と違う歴史を辿ってきた、北の国との戦争で微妙な緊張が漂う日本。軍の基地がある郊外の都市に住む平凡な中学生の主人公はひょんなことから夏休みの最終日にワケありな転校生の少女イリヤと出会い、それがきっかけで彼女と世界の秘密を共有することになる、というあらすじ。ボーイミーツガールという古典的な様式で「青春時代とその終焉」という普遍的なテーマを描いた、青春娯楽小説の王道と言える作品かも知れない。先日読んだ森絵都の「永遠の出口」が誰もが経験したであろう冴えない青春を面白く描いていたのと対照的に、この小説で描かれているのは誰もが経験したくて出来ないような、そんな楽しい青春だった。
残暑の気配がうっすらと残る学園生活の空気感の描写が秀逸ですぐに作品世界に入り込めるし、ヘンな癖がなくて適度にコミカルなキャラクター描写や文体も良いと思う。背後に謎めいた雰囲気をちらつかせつつイリヤとの関わり合いを中心とした学園生活が繰り広げられていく前半部分。やがて後半へ向かうに連れて遠くの出来事だった戦争が徐々に主人公の街にも影を落とし始め、少しずつ失われていく日常。主人公の決意する世界との幼い戦い。そしてその先にある、終わり。あくまでも戦争や世界の謎に関しては一部を除いてその外側をなぞっていくだけで具体的なディティールは描かれないんだけど、逆にその得体の知れなさがこの作品においては良い方向に作用していたと思う。
大槻の日記にもある通りこの作品は最終巻が物議を醸したらしく、一部のファンの間では三巻で終わったことにされているらしいのだが、俺としてはこの作品であれより良い終わり方は有り得ないんじゃないかと思う。詳しくはネタバレになるので書かないけども、どんなに楽しい青春もいつかは終わるということ、誰もが少年時代と折り合いを付けて大人になって行かなければならないという切実なテーマをライトノベルでしっかり描いたのは評価に値すべきだし、青春小説というのはそうあるべきだと思う。最後のエピローグでの主人公の行動は、正にその象徴であるような気がした。
読み終わった後に何とも言えない寂しさが残った小説というのは中3の冬に読んだ村上龍の「愛と幻想のファシズム」以来で、久々に心に残る作品だったと思う。目下の問題は、その寂しさと俺自身がどう折り合いを付けるかという事ですが。どーしよ(笑
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